夏のアルバムから。
2700.jpgアシナガキアリAnoplolepis gracilipes。与那国にて。

南西諸島ではおなじみで、本土のクロヤマアリ的なニッチを占める。荒地に生息し、何でも食う。巣を暴けばアリヅカコオロギを必ず採らせてくれる優等生で、別名「ボウズ逃れ」。
このアリの巣は、あまり地面に深く埋まっていない石ブロックや板切れの下に形成されることが多い。ガバッと開けると、途端に大量のアリが湧き出てきてこちらの体に一斉に這い登ってくる。この興奮したアリどもは、他のアリと違ってほとんど咬みついてこず、ただ狂ったようにこちらの体を走り回るだけ。だから、一見無害で大人しいアリに思えるのだが、実際はそうではない。

素肌を直に走り回られてから1分くらいで、次第に這い回られた辺りがビリビリとしみるように痛み始める。このアリは怒ると咬みつく代わりに敵の体表面を走り回りつつ、強力な蟻酸を振りまいて回るのだ。この蟻酸の威力はすさまじく、カニや小鳥のヒナなら群れで這い回られただけで目がつぶれて死ぬほど。本来いなかった場所に持ち込まれて定着してしまうと、在来の地表性生物の大半はこのアリの蟻酸攻撃で一掃されてしまう。
このアリには専門に寄生するアリヅカコオロギがいて、これが様々な実験に利用できる有用生物なのだが、このアリに養ってもらわないと死んでしまうため、飼育目的で持ち帰るにはアリも持ち帰る必要がある。しかし、持ち帰る際に同じ容器に入れてしまうと、アリが興奮時に出す蟻酸を食らってアリコロが全滅してしまう。だから、持ち運びの際は別々の容器に分けねばならない。

与那国島には、「ヨナグニアリヅカコオロギ」という実体のない生物が存在することになっている。南西諸島のいくつかで、正式に記載はされていないながらマイナーな和文文献上に亡霊のごとく名前だけ載っているアリコロがいくつか存在する。これに関しては一家言あるのだが、それはここで披露すべき内容ではない。

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