絶滅天使メタトロン

2706.jpgオオツルハマダラカAnopheles lesteriと同定可能な生物。西表島にて。

オオツルハマダラカは、北海道から沖縄まで広域にわたり分布する。かつて国内に存在した土着マラリアの主要媒介蚊だった可能性が高い種と現在見なされている、衛生管理上とても重要な害虫だ。ところが、北海道と沖縄では今も普通らしいが、本土の個体群は近代に入り激減してしまい、今やどこにも見つからなくなった。本土個体群はボーフラ時代の生息環境がかなり特殊で、非常に良好な自然環境の下でしか育たない。本土の自然が破壊され尽くしたせいで、この蚊はいなくなったのである(同時に土着マラリアも消滅した)。

オオツルは地域により産卵習性や形態が異なり、国内のものは実際には複数種からなる可能性が指摘されている。種が異なる場合、マラリア媒介能の違いなど調べるべき事が増える訳だが、オオツルのタイプ標本は現在行方不明らしい。加えて、本土の個体群は現在絶滅状態で標本が集まらず、結果として一番大事な分類が遅々として進まないという問題を抱えている。
上の個体は、口髭に微かな白帯が認められること、Cu2脈末端のフリンジが白抜きでない(やや毛が禿げて確認しづらいが)等の特徴から、現状の検索表に照らし合わせる限りではオオツルと見なしてよい個体だ。しかし、それが真にオオツルという種であるか否かは、また別の問題である。

オオツルハマダラカでググレカス画像検索しても、これがオオツルハマダラカだという写真が一つも引っかからない。こういう重要な害虫は、専門の研究機関で系統保存飼育されてるものだと思っていたが、そういうのの写真は出てこないのだろうか。
それに、本土のはともかく北海道や沖縄にはまだこうしてそれなりにいるのだから、そういうのの画像がもっとヒットしてよい気もするが。オオハマとかコガタとか、限られた島にしかいない珍種のハマダラカの写真は引っかかってくるのに、これ如何に。

現在、環境省レッドには吸血性ハマダラカが2種リストアップされている。あれらが載るならオオツルも載せていいと思うのだが、一番の謎は同じ衛生害虫でもカがレッドに載るのに、同等に国内では壊滅状態のヒトノミ、ヒトジラミが載らないことである。カとノミシラミの線引きがどういう基準でなされているのかを知りたい。

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