2737.jpgヤマトビイロトビケラNothopsyche montivagaの筒巣。西日本にて。

川虫というトビケラの常識を根底から覆す、驚異の生物。生活環の全てを陸上で回すようになった、世界的にも稀に見る特性を持ったトビケラ。もはや川虫ではなく陸虫である。
これが属するホタルトビケラ属は日本に7種ほどいて、これ以外は皆幼虫期は水生であるものの、蛹化する際に水面から上に出るなど、多少とも幼虫期に上陸傾向を示す。それをさらに進めて、完全陸生になってしまったわけだ。

日本の西南部で、局所的に見つかっているだけの珍種。西に拠点があるうち、一度は拝んでおかねば絶対悔いが残るので、既知産地のうち一つを訪れた。何の変哲もない、乾き気味の雑木林である。成虫が発生しているはずの時期なのだが、悲しいほど何も飛んでいる生物を見なかった。
これの成虫は年一回、秋の終わりの短期間だけ姿を現す。これはホタルトビケラ属全般に共通した特徴である。まるで冬尺のようだが、ヤマトビイロトビケラの場合メスの腹が巨大に膨れ、なおかつ翅が退化して飛べないところまで冬尺をパクッている。

幼虫の筒巣は、まさに普通の水生トビケラのように細かい砂粒をつづって形成されている。探し始めてしばらくは一つたりとも発見できない。しかし、要領がわかると途端にポンポン見つかり出す。産地内では想像以上の個体数が生息していることに気づく。
この時期の筒巣は中身が入っていない。秋の終わりに物陰に産卵された卵はそのまま越冬し、早春から孵化して活動し始めるようである。幼虫を見てみたいが、初夏にまた来たほうが良さそうだ。

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