夏のアルバムから。
2763.jpgヒラタグンバイウンカOssoides lineatus。大分にて。

ススキの葉に付く奇妙な虫。平たい体でピタッと張り付くため、立体感がなく、そこに生き物が居るという感じを出さない。突き出た頭の中には、よくよく見ると泡が入っている。親戚筋たるビワハゴロモの仲間も、頭のツノの中には泡が入っているという話を聞いたことがある。理由は謎。

大昔、彩の国に住んでいた頃、家の近くに比較的規模の大きい空き地があり、一面がススキ原だった。東京都心に近接した立地で、近年あれほどの草原が残っていたのは珍しい。彩の国では今やかなり珍しいキリギリスが多産し、ススキをタモ網で掬えばヒラタグンバイウンカが何匹も入った。すぐ逃げたため一瞬しか姿を見なかったが、カヤネズミさえ入った。草原の中には存在理由すら分からない大きな側溝が掘られており、梅雨時になると水没して池となり、無数のギンヤンマのヤゴが採れた。
その草原は、数年で完全に地ならしされて壊滅し、後にはクソほどの面白みもない、どこにでもある凡庸な運動公園が出来た。敷地の大半が、草も生えない特殊舗装のグラウンドと、周回全部柵に囲われて水にも触れられない池となった。これにより、この場所から半径数kmに渡り、草原性の生き物を見られる場所が完全に消滅した。

我が家は転勤族だったため、俺は元々この土地には数年しか居住しないことが分かっていた。だから、この地域を終の棲家とする住民らが、あの虫ばかりでクソの役にも立たない草むらよりもランニングやら野球やらできる快適で楽しいレクリエーションの場所を望んだというのならば、それに対してどうこう言える立場にはない。
それでも、時々所用でこの場所の近くを通りかかるとき、あのグラウンドを視界に入れてしまうと、もう辛くて居たたまれない。ああなる前のここの状態が如何ほどのものだったかを、知ってしまっているから。

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