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ボロギギリ

2779.jpgナガトゲオビヤスデEpanerchodus lobatus

富士山麓に点在する火山岩洞窟に生息する、地下性生物。洞口から深部まで広く見られるが、深部の個体ほど退色する傾向にある。完全無色の種に比べて、色の抜けない本種は三下のように思っていたが、これはこれで美しいかもしれない。

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本種の和名について
Epanerchodus longusの和名に混乱が見られるようです。本種は高桑(1954)「日本産倍足類総説」や高島・芳賀(1956)ではナガトゲオビヤスデとされていますが、三好(1959)「日本の倍足類」にてヘルヘフオビヤスデ(新称)とされています。

後にEpanerchodus fujisanus Shinohara, 1973にナガトゲオビヤスデの和名があてられたようですが、記載論文を持っていないので記載時にこの和名があてられたのかは不明です。

おそらく三好さんがE. lobatusに既に和名があてられていることに気がつかずに新和名を唱え、その後篠原さんがE. fujisanusにナガトゲオビヤスデの名を与えたのではないかと思います。現時点ではE. fujisanusに他の和名が見当たらないので本種をナガトゲオビヤスデ、E. lobatusをヘルヘフオビヤスデとするのが適当かもしれません。
BITTZU|2019.05.14/04:50
ご教示ありがとうございます。そうでしたか、これはややこしい・・これはfujisanusの記載論文を入手して、確認したいところですね。
-|2019.05.16/10:03
詳細が判明しました
 E. fujisanusの記載論文(Shinohara, 1973)を入手しました。

 これによると以下の経緯があるようです。

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Verhoeff(1941):Epanerchodus lobatusを記載

高桑(1956):Epanerchodus sp.を誤ってナガトゲオビヤスデE. lobatusとして紹介

高島・芳賀(1956):高桑(1956)に従った

三好(1959):高桑(1956)の間違いに気づき、高桑(1956)でナガトゲオビヤスデE. lobatusとされている種類にE. neolobatusの学名を用意したものの記載まで至らず。E. lobatusには新称としてヘルヘフオビヤスデの和名を与えた。

篠原(1973):E. neolobatusの無効性を指摘。三好氏に相談の上E. neolobatusをE. fujisanusとして記載した。このときE. fujisanusにナガトゲオビヤスデの和名を提唱。

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 まとめると、現在は以下の2種となります。richooさんが高島・芳賀(1956)を元に同定されたのであればナガトゲオビヤスデE. fujisanusとなりそうですね。

ヘルヘフオビヤスデ Epanerchodus lobatus Verhoeff, 1941
ナガトゲオビヤスデ Epanerchodus fujisanus Shinohara, 1973


 ところで、篠原さんも最初はE. lobatusの生殖肢を把握していなかったようで、篠原(1958)ではE. lobatusをイシダオビヤスデE. ishidaiと誤同定されているようです。また、E. ishidaiは西川・村上(1993)でクビオビヤスデE. tenuisのシノニムと示唆されています。ほんとややこしいですね。

追記:ヒガシオビヤスデE. orientalis、ヘルヘフオビヤスデE. lobatus、イシダオビヤスデE. ishidai、クビオビヤスデE. tenuisが近縁なのは生殖肢構造から間違いなさそうです。これらとナガトゲオビヤスデE. fujisanusは体形、大きさ、生殖肢が全く異なります。ナガトゲオビヤスデE. fujisanusはイズオビヤスデE. angulatus Murakami, 1970に近縁です。
BITTZU|2019.05.18/02:10

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