素晴らしき大自然()

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ハシリハリアリLeptogenys sp.。軍隊蟻とは見なされないが、軍隊蟻同様に肉食性で、定期的に放浪しながら周囲の小動物を殺戮して回る。この属には多くの種が存在するが、この写真の赤黒い種類は特に大型の部類に入る。夜になると、恐らく数千以上のワーカーが森床を大挙してねり歩く。

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餌場を見つけると広範囲に行列が広がり、絨毯爆撃のごとくその場にいるあらゆる生物に襲いかかる。強力な毒バリを持っており、人間も集団で襲われると無事では済まない。しかし、このアリには結構いい好蟻性生物が居候するので、多少の危険をはらんでも喧嘩を売る価値はある。
この種はコロニーサイズが例外的に巨大だが、他の種類はワーカー数が数十から数百程度の小さいコロニーのものが多いと思う。
マレーにて。



数年前、タイの国立公園に行った。林内の歩道脇にしゃがんでこのアリの行列を見ていたとき、頭上の枝に手長猿がやってきた。すると、それを追うようにエコツーリズムか何かの白人が団体で来た。全員、ツバ広帽子と偏光サングラス、やたらポケットの多い迷彩柄のベストを装着し、肩にバズーカのような望遠鏡、首に双眼鏡という「自然愛好者」の風貌。傍らの日本人には目もくれず、頭上の手長猿を見ながら「かわいい!」だの「素晴らしき大自然だ!」だの「動物最高!」だの歓声を上げていた。やがて手長猿が移動すると、連中もそれを追って上を見ながら歩き去っていった。その時、足下の俺が見ていたアリを全部踏んでいったのを、俺は絶対に忘れない。

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