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時限爆弾

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冬虫夏草アリタケ(Ophiocordyceps sp.?)に冒され、操作されたオオアリCamponotus sp.マレーにて。
生きたアリの体内に侵入した菌は、アリの神経系を掌握して傀儡のように操るらしい。時がくると菌はアリに働きかけて、胞子を飛ばしやすい場所=風通しがよく風雨が直接当たらない木の葉裏へ移動するように命じる。アリは多分自分の意志とは関係なくそこへ移動し、葉の主脈を顎でガッチリ噛み体を固定する。その体勢のままアリが死ぬと、やがてアリの後頭部から細い糸状のキノコ(ストローマ)が生えてきて、その表面に胞子をまき散らす丸い結実部が形成される。
既にキノコが生えた状態のものはよく見るが、今まさに操られているのは初めて見た。

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この撮影時、アリは生きていた。指で触ると嫌がって足をばたつかせるが、噛みついた顎だけは絶対離さなかった。後の展開が分かっていれば、スローシャッターでアリがまだ動いている様を撮っておけばよかったと後悔している。ある日の午後に宿泊地の傍でこれを見つけたが、翌朝様子を見に行ったら既に事切れていた。

その後、電力事情の関係でよその宿泊地へ行かねばならなくなり、たった4-5日だが留守にすることになった。そして、再びこの場所へ戻ってきたとき、このアリの事を思い出して様子をまた見に行くことにした。










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早! もう全身に菌糸がはびこり、首からストローマが生えていた。まだ伸びる最中で、これの倍くらいは行くだろう。すると、ストローマの真ん中当たりに結実部ができて胞子を飛ばすようになる。しかし、俺の滞在期間中には流石にそこまで成長しなかった。

今、日本の職場の近くの森でこれによく似たイトヒキミジンアリタケCordyceps sp.を継続観察している。ミカドオオアリCamponotus kiusiuensisに寄生している個体だが、去年の11月に発見してから数ヶ月経った今でも殆どストローマが伸びていない。たった4-5日であれだけキノコが成長するとは、いかにあの国が高温多湿かが分かる。生きて動いていた姿を見ていただけに、あのアリの変貌ぶりはショックだった。

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感動して、ずーと見ちゃうよ。
長野由美子|2012.11.21/23:49

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