生キノコるには

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シリグロオオケシキスイOxycnemus lewisi。森でたまたま飛んでいるのをはたき落として採ったが、特徴的な色彩ゆえ飛翔中の段階で本種とわかった。この虫は分布は広いが、採りたいときに採れない珍虫の部類に入る。なぜなら、この虫はキノコの一種スッポンタケの仲間Phallaceaeにしか集まらないからだ。

スッポンタケは、ある日突然森の地面からニョキニョキ生えてきて(兆候は本当は事前にあるのだが)、ほんの数日で腐って消滅してしまう神出鬼没のキノコ。この虫は、恐らくこのキノコのかなり若い段階のものをめざとく見つけて産卵するのだろう。そして、すぐ孵化した幼虫はキノコが腐って消滅する数日以内にキノコを食って急速に成長し、蛹にならねばならない。短命なキノコに依存した甲虫は多く、いずれもこうした忙しない一生を送るようだ。

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昔、上高地に登山に行ったときに、森の中で偶然あの神出鬼没なスッポンタケが十数本まとまって生えている場所を見つけた。しかし、それらは全部根元からぶち折られ、縦に裂かれた状態で地面に散乱していた。件の甲虫を捕るためにマニアがやったのは一目見て明白で、せめて1-2本残しとけば、また来たときに採れるだろうにと思わずにいられなかった(上高地は、国立公園の特別保護地域なので全面採集禁止区域です!)。

スッポンタケの仲間は、そこそこ自然度の高い場所でないとなかなか見られない。環境が悪くなってキノコが生えなくなれば、シリグロオオケシキスイもいなくなっていく。

長野にて。

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