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クロミドリシジミFavonius yuasai幼虫。ミドリシジミ類は、オスの翅表がまるでモルフォ蝶のように美しく光り輝くので有名だが、これはオスの翅が渋い銅色の地味な種。でも、分布が限られている上に採りづらいので、マニアからの人気は根強い。本種は、長野県の天竜峡から新種記載された。
成虫を見るのはかなり困難で面倒だが、幼虫を見るのは楽。5月中旬に成熟した幼虫は、食樹であるクヌギの大木幹のかなり低いところに日中定位し、夜に梢へ移動して葉を食べ、朝には再び幹の低いところに戻る習性を持つ。日に日に定位位置は低くなり、やがて地面に降りて蛹になる。行きつけの秘密の森では、毎年5月のある日に行けば絶対に目線の高さまで降りてきているのを見られる。

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幼虫は、まるで地衣類のような模様をしているため、しばしば地衣類に擬態していると言われる。確かにクヌギにはよく地衣類が生えるし、こいつが地衣類の上にいる時は非常に見つけにくい。でも、虫本人には特異的に地衣類上で定位しようとする性質はないため、場所によってはむしろかなり目立ってしまう。かくして人間にはあっさり見つかってしまうのだが、本職の天敵である鳥などをごまかすにはこれで十分なのだろう。紛れるのでなく、自らが小さな地衣類の断片として振る舞いたいのかもしれない。

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定位場所によっては、地衣類が周囲になくても相当見つけづらい。なお、ミドリシジミの仲間は一部の種類を除いてアリとの関係を絶っている。アリに積極的にたかられることはないが、逆にアリに攻撃されることもほとんどないようだ。

長野にて。

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