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精霊

4343.jpg毒針でギアスを施す瞬間。

この生物はハエやアブ等を捕らえ、毒針で胸部の神経を打って麻痺させる。それを巣内に持ち込み、幼虫の餌とする。この毒針による麻酔行動をどうにかして撮影してやろうと、もうかれこれ10数年ウダウダやってきたのだが、一向に成功する気配がなかった。
通常の狩人蜂と違い、こいつは頑なに獲物の麻酔行動を空中で飛びながらやろうとする。こいつの飛翔は高速なうえ、目まぐるしいジクザグの軌跡を描くため、飛んでいる最中の麻酔行動の撮影など、まず人間の能力では不可能だ。よって、何とか地面なり草なりに止まった状態で刺してほしいわけだが、あちら様は一向にこちらの思うように動こうとはしない。

タイミングにもよるが、この生物に指やピンセットで摘まんだ獲物を渡すと、割とすんなり受け取ってくれる。そして、すぐさまそれを毒針で刺しつつ空中へと持ち去ろうとする。この時、こちらが獲物を強く摘まんで離さないと、奴は持ち去るのを諦めて羽ばたきをやめ、やむを得ず手やピンセット上に止まったまま麻酔行動を取る。この状態でうまく地面に奴を置いて撮影しようとしていたのだが、奴は地面に置かれた瞬間すぐ獲物を持って空中へ飛び去ってしまう。
そしてその獲物を持って再び巣へ戻ってくるので、巣に獲物を搬入する隙に横からピンセットで餌を奪い取り、再び奴にそれを動かしつつ返すと、奴は獲物に麻酔がまだ効いていないと思い込んでまた獲物に飛びついて刺す。それをまた地面にそっと置くのだが、置いた瞬間また飛ばれて・・その延々繰り返し。
2005年か2006年辺りに、一度指の上で刺す様子を当時使っていた低画素のショボデジカメで撮っており、どうにかしてちゃんとしたカメラで指やピンセットを写さずに撮りなおしたいと思いつつ、先述のような失敗を毎年続けてはや10数年が過ぎてしまった。
世間の撮影者各位においても状況は似たり寄ったりらしい。これまでネット上、文献上、様々な媒体でこの生物の生態写真を見たが、刺す瞬間の写真はほとんどどこにも出ておらず、僅かに指先でつまんで固定した獲物を刺させている状況の写真が散見される程度。みんなうまくいっていない。

今回、たまたまシャッターを切ったタイミングで、空中で刺す瞬間が写った。しかし、狙って撮れたわけではないので、これをもって「成功した」ということはできない。結局のところ、俺はまだ自分が思っているような瞬間を切り取ることには成功していない。なので、この先永遠にそれの瞬間を撮るための無駄な努力を続けることになるのだ。

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これも十分スゴイが、さらなる高みを目指して下さい。
-|2020.09.08/09:07

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