2020/09/10|Category:膜


もしかしたらと思い、少し離れた草むらまで行ってそこに営巣していたクモを捕獲し、ハチの所へ持って行ってみた。低木周辺を飛び回るハチの傍で、掌に隠したクモを見せた瞬間、一直線に俺の手の所までハチが飛んできた。すぐさまクモを追い立てて地面に突き落とし、自らも素早くそれを追って着地。走って逃げるクモを背後から追っかけ、背中に飛びついて仕留めた。
俺は今まで、ベッコウバチはクモの出すしおり糸の匂いを辿ることで獲物の存在を探知・認識するものだと思っていた。しかし、奴は一度も地面に置いていない掌の上のクモ目掛けて、見せた瞬間的確に飛びかかってきた。しっかり視覚でもクモの存在を認識できているらしい。恐らく、紫外線反射率の違いなどから、ベッコウバチの目にはクモの姿が周囲の草葉などの背景とは違う色で見えているから、こういうことができるのではないかと思う。
しかし、キオビベッコウも本当に日本中どこでも少なくなった。ここでは初めて見たかもしれない。こういう高次捕食者のスペシャリスト捕食者が盤石に生息できる環境というのは、とても大切なものである。