2021/01/07|Category:未分類

とにかく遠出できないし、かと言って近場に目ぼしい虫も今時期いないので、仕方なしに最近チャタテムシを調べることにした。真冬でも、公園に植栽された常緑樹の葉裏には、思いのほか多数種のチャタテムシがいるものである。今まで大して興味も関心もなかった仲間だが、しかしそこらにいる普通種のチャタテムシの種名すら碌に知らずに昆虫学者を名乗るのも、末代までのお笑い種だ。これを機会に、少し勉強する。
幸い、オープンアクセスで検索表が入手できるので、これで調べてみた。写真の種はアオキの葉裏にいた奴で、ホソチャタテ科であることまでは容易に分かった。しかし、そこから種へ落とすのに難儀した。富田・芳賀(1992)によれば、無印のホソチャタテかスカシホソチャタテになる(この個体が、「前翅の縁紋は後縁部のみ褐色を帯びる」と表現できるものであれば)。この2種を分ける決め手が、前翅Cu2脈に毛を生ずるか否かだという。この個体の翅を実体顕微鏡で見ても、当該部分に毛がどうにも確認できなかった。ない方がスカシ、ある方が無印らしいので、検索表通りにいけばこれはスカシになる。
だが、ネット上で確認できるスカシとされる個体を見ると、色彩がこれとは似ても似つかず、むしろ無印の方に酷似している。本当は無印で、単にCu2脈の毛を見逃しているのだろうか。