ボラにちゃん付けする辺境の島国

IMG_4950.jpgマダラサソリIsometrus maculatus。普段はおっとりしているが、獲物を攻撃するときは別人格が降りたように高速。マレーにて。

サソリは昔から好きな虫。日本ではそんじょそこらで見られる生き物ではないから、俺の中では希少価値が高い。何よりかっこいい。下手なカブトクワガタを見たときよりもテンションが上がる。「蛇蝎のごとく嫌う」という表現があるが、俺は蛇もサソリも好きなので、代わりに「犬鯔のごとく」と書く事にしている。

俺は犬が死ぬほど嫌いだという話を以前ここに書いたが、実は魚のボラも嫌いである。上から見ると顔が人みたいで不気味である。目がでかいくせに覇気のない死んだ目をしている。そして目がやや上方向に向いているので、真上からみると目が合うのが嫌である。大抵薄汚い河口で見るため、無駄にウスラでかい体でほの暗い水底から亡霊のごとくスーッと出現してスーッと消えるのが恐ろしい。訳もなく突然ジャンプするのも恐ろしい。何より時々大発生して川を埋め尽くすのがおぞましい。似たような大きさ姿のコイとかはどうともないのに、ボラだけはどうしてもダメなのである。

海水浴をしている最中に群れが近づいてきた日には、もう泣きながら手近なものをぶん投げて追い払うほどである。川で腰まで使って遊んでいたときに、たまたま遡上してきた巨大な奴が高速で足下をすり抜けていったときには小便もらしそうだった。
しかし、俺の周りには毛虫が泣くほど嫌いだとかいう人間はいてもボラが泣くほど嫌いだという人間が一人とて存在せず、誰ともこの苦しみを分かち合えない。実に世の中は、俺に生きにくいように出来ている。

これほど嫌なボラなのに、俺は海辺の地域に行くと何故か河口までわざわざそのボラを見に行ってしまい、そして激しく欝な気分になって帰るのである。昔のホラー漫画に「恐怖新聞」というのがあったが、これは1回読むたびに100日寿命が縮む呪いの新聞に取り付かれた男の物語だった。一度読んでしまうと呪いの力により、自分の意思とは関係なく毎日体が勝手に新聞を読みに動いてしまうようになるのである。俺にとってのボラは、まさに恐怖新聞である。

俺は深層心理の奥底では、水の生物全般を恐れているようである。何しろ水の中では人間が絶対に勝てない生物だから。人間が生身で絶対に生きていけない世界で普通に生きている別次元の存在だから。俺にとってその水生生物への恐れを具現化した究極形態がボラなのだと思う。

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