397.jpg種類のよくわからない、ウスバカゲロウの幼虫。肩にある突起が妙に気になる。山間部の神社の境内にある、日当たり良い乾いた地面にいた。いわゆるすり鉢状の「蟻地獄」を作らず、ただ土砂に浅く潜っているだけだった。
偶然、アリを捕食していたため存在に気づけた。地面にまるで張り付けのようになったアリがジタバタしているのを不審に思い、砂を払ったら見つかった。

ウスバカゲロウの仲間には、幼虫期に巣を作らない種類がいくつもいる(と言われている)。それらはそれゆえ、自身がそこに存在する目印をいっさい残さないため、発見するのが究極に難しい昆虫の部類に入る。
ただ、それらのうちコマダラウスバDendroleon jesoensisは、生息する微環境がかなりピンポイントで限定されているため探しやすい。広大かつ柔らかい砂浜に住むオオウスバHeoclisis japonicaも、夜のうちに地表を這い回った跡を辿ることで、まあ発見できなくもない。しかし、それ以外の種類(特に内陸部に住む種)に関しては、いるポイントが全く特定できない。たとえそこにいるさまを肉眼で見ても、我々はいることに気づけない。今回のように、運命のいたずらがなければ、基本的に発見のチャンスはない。

そのため世界のウスバカゲロウ類の中には、この21世紀の世の中にあって幼虫が未だ発見されていない種類がたくさんいるはずだ(逆に言えば、幼虫の知られていない種類の多くは、おそらく巣を作る習性がない種だともいえるかもしれない)。世間では蟻地獄という言葉は、「決して抜け出せない厄災」の喩えでばかり使われている、景気の悪い言葉の筆頭だ。しかし、本当の蟻地獄の中には、限りない夢が詰まっている。

静岡にて。


※カスリウスバカゲロウDistoleon nigricansの幼虫とのご指摘を頂きました。hamusi様、ありがとうございます。

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いつも更新を楽しみにしています.
写真はカスリウスバカゲロウの1齢幼虫だと思います.おそらくこの場所で,乾いた土の表面を手で撫でるように浅く掘りますと,2齢や3齢幼虫に出会えると思いますよ.同じ場所にホシウスバカゲロウ属の幼虫もいるかもしれません.
hamusi|2013.08.22/20:31
hamusi様

ご教示まことにありがとうございます!巣を作らない種類は、そうやって探すんですね。またこの場所に行く機会があった際に、試してみます!
いつもご愛顧頂き、感謝いたします。
richoo|2013.08.22/21:07

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