カリス姫

449.jpgキバジュズフシアリProtanilla izanagi。本州中部にて。

451.jpg日本が世に誇る、珍奇で奇怪なアリの筆頭。ごく僅かな都道府県からごく僅かな個体が得られているだけの、日本産アリ類の中でも屈指の珍種である。地中性で、目が完全に退化している。そしてなぜか前脚の「二の腕」がたくましいが、その理由は不明。細長い体をヘビのようにくねらせて、土砂の隙間をはい回る。

450.jpg土砂降りの雨の中、森の土を3時間くらい篩って採った。それだけの苦労をしてでも、姿を拝む価値のある逸材。

453.jpg最大の特徴は、常に半開きで閉じない巨大なキバ。お椀を逆さに伏せたような形の幅広いアゴの内側に、鋭いトゲが無数にびっしり生えており、まるで剣山のよう。生態は一切不明だが、近縁属の生態からみておそらくムカデ等の大形土壌動物と戦って倒し、食らうものと思われる。キバの剣山は、獲物に食らいついて振り落とされないための滑り止めであろう。
獲物にしがみついたまま、毒バリで獲物を刺し殺して仕留めるに違いない。

452.jpgキバジュズフシアリは、分類上は長らくAnomalomyrmaの未記載種として扱われていたが、ごく最近Protanillaとしてようやく記載された(Terayama 2013)。本種を含むムカシアリ亜科Leptanillinaeは、アリ科の中でもかなり原始的な部類と言われている(むしろ逆に特殊化した「新しい」アリと見る向きもあったが、分子情報を見る限り本当に古いらしい)。アノマロミルマのほうが、かの有名な古代生物っぽい名前で格好良かったのに。
こんなエイリアンのような異形の群れを隠していたなんて、日本の裏山もまだまだ捨てたものじゃない。

この生物とは、わかる人と一緒に探さなければ絶対に出会えなかった。案内して下さった方、本当にありがとうございました。


参考文献:
Terayama M (2013) Additions to knowledge of the ant fauna of Japan (Hymenoptera; Formicidae). 日本蟻類研究会紀要第三号. pp.1-24.

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