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雲霧林のセミ。ヒグラシに近い雰囲気で、形はあまり変わっていないが模様はコケそっくり。苔むした樹幹に止まると、体の輪郭がはっきりしなくなってしまう。鳴き声は日本のヒグラシ同様、至近で聞くと耳障りでやかましい。

幼い頃読んだ子供向けのセミに関する本に、「日本のセミは、外国のセミ研究者の間では小鳥のように美しい声で鳴くセミとして人気が高い」と書いてあったのを覚えている。それを見た当時、外国のセミの研究者は総じて耳がおかしいのかと思っていたが、実際に外国のセミの声を聞く立場になって、その意味が分かった。
外国のセミは、ほとんどの種類がチーとかジーとか単調でつまらない声で鳴く種類ばかり。ミンミンとかシャーシャーとかツクツクボーシとか、個性的な声の種類が非常に少ない。ジーと鳴くアブラゼミでさえ、ちゃんと前奏と間奏があって音楽性がある。日本という国は、世界的にも稀な音楽家のセミ達が住まう国だったのだ。

なお、熱帯諸国ではセミの声は雑音として聞き流されており、セミの声に耳を傾けて感慨にふける現地人に出会った試しがない。そういう感性を持っていることは、日本人が世界に誇れる数少ない美徳の一つだと思う。

マレーにて。

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赤々と夕陽の射す帰り道に響き渡るヒグラシの鳴声、
誰でも想い出す懐かしい日の音です、
「ちょっと来い」「ゴロ助ほー」聞きなし、で育てられ、
幽そけき音色を「鉦叩き」なんて興じる風習の我国、
苔の美しさを取り入れ生かす事も、日本の技でしょう
小泉八雲には、如何に聴こえたでしょう?
瓜豆|2013.11.15/00:18
ヒグラシは、遠くで聞くと本当にいい声なんですが、近くで聞くと耳がおかしくなりそうです・・
ただチーとしか鳴かないニイニイゼミの声も「岩にしみ入る」などと表現できる日本人の感性は、素晴らしいと思います。
richoo|2013.11.15/07:45
南仏のセミの鳴き声も単調でつまらないです。
蝉以外の虫の声も概ね単調でつまらないですね。
日本人が虫の声を愛でるようになったのはこのためなのか、と思いました。
ファーブル|2013.11.18/00:05
なんと、フランスのセミも面白い声の種類がいないのですね。
毎年、夏になるとただただうるさいだけに思っていたセミの声ですが、来年からはもっと有り難がりつつ耳を傾けたいです。
-|2013.11.18/07:53

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