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モズのはやにえ。柿の木でヒナバッタChorthippus biguttulusがやられた。

585_201312212317401b7.jpg梅の木でニホンカナヘビTakydromus tachydromoidesもやられていた。長野にて。

この21世紀の世にあって、いまだにモズのはやにえの理由はよく分かっていないという。かつては獲物の少ない冬に備えて貯食しているのだと言われたが、その割にはいつまでも食われないまま忘れ去られるものも多い。
カラスにせよヤマガラにせよ、貯食習性がある他の鳥は往々にして賢いものばかりである。どこかに餌を隠した以上いつかはそれをまた見つけ出さねばならないから、ある程度の記憶力がないと貯食という習性自体が成り立たない。しかし、モズが他の小鳥に比べて抜きんでて知能が高いことを示した研究というのは、聞いたことがない。むしろ、かなり知能が低いように思える。

カラスやヤマガラは、餌を地面の隙間や樹皮の裂け目など、外からわかりにくい所に餌を隠す。周囲の落ち葉などを使って擬装することもある。そこまで周到に隠した上で、後で隠した場所を忘れるというなら納得がいく。しかし、モズのはやにえは開けた場所の枝先など、外からもろに見える場所に作られる。そんな目立つ場所に「貯食」しておきながら、それを忘れて食わないというのはおかしな話である。
だから、はやにえが貯食目的でなされているという説は、前々からずっと疑わしく思っていた。


昔、何かのテレビではやにえの理由に関して面白い仮説を提唱していた。それは、「場当たり的についやっている」説である。モズは、目の前に生きた小動物がいると、自らの空腹状態に関係なく本能的にそれを殺さないと気が済まない。そこで空腹ならばそれを食うが、満腹ならば「いつかは分からないが、とりあえず近未来のいつか」に食おうと思い、手近な枝などに反射的に刺してその場を去る。ところがモズは頭がそんなによくないため、その場から飛び立った瞬間に、自分がいまそこではやにえを作ったことを忘れてしまう。

しかし、モズは冬の間決まった縄張りをもち、日がな一日その内側を巡回し続けている。そして、モズは縄張り内にいくつかのお気に入りの見張り場所を持つ。なおかつ、モズは見張り場所から地面にいる獲物に襲いかかると、再びもとの見張り場所に戻る習性が強いため、おのずと高頻度で止まる見張り場所の近くにはやにえをつくることが多くなる。
だから、モズははやにえを作ったことを忘れてしまっても、次にそこへ巡回しに来たときに以前のはやにえを発見できるのだ。その時のモズははやにえを、以前それが自身でこしらえたものとも思わず、普通に獲物が枝先に止まっていると思って「捕食」するのである。

一方、モズも生き物なので、たまには縄張りの中でも普段あまり止まらない場所に止まることもあるだろう。その時にたまたま獲物を見つけてそこではやにえを作ってしまうと、それ以後その場所にはもうそんなに行かないだろうから、そこのはやにえはいつまでも食われずに残り続けることになる。これが、「忘れ去られたはやにえ」の正体だという。

個人的には、諸説ある中でもこれが一番もっともらしい気がしており、今に至るまで信奉している。

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-|2014.02.23/12:39
Re: タイトルなし
こちらこそはじめまして。
やはりモズのはやにえは、いろんな人々が気にしているんですね。わたしもはやにえを作るところを何度か見たことがありますが、枝が被ったりしてなかなかうまく撮影できていません。いい場所ではやにえを作る場面に遭遇できたそうで、とてもうらやましいです。
今後とも、よろしくお願い致します。
richoo|2014.02.23/18:07

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