656.jpg片足がないウミネコ。静岡にて。

十中八九、捨てられた釣り糸が足にからみついて食い込み、壊死してちぎれた結果。昔からこの港湾では、片足がなかったり釣り糸が体にからんだりした鳥をしょっちゅう見る。それはこの港湾地域が全国的に有名な釣りポイントらしいこと、休日ともなれば県外を含め各地から釣り宇宙人どもが入れ替わり立ち替わり侵攻しに来ることと、無関係ではないと思う。
防波堤を歩けば、そこら中に釣り糸が引っかかったまま放置されている。針が付いたままのものも珍しくない。



世間では虫採りが「かわいそう」「残酷」「自然破壊」などと言って叩かれることが多い一方、どういうわけか釣りは(少なくとも虫採りに対して向けられる、変質者を糾弾するような悪意を持っては)叩かれることが非常に少ない。それが幼い頃から本当にくやしくて腹立たしくて、道楽としての釣りも、それを嬉々としてたしなむ人種も逆恨みしている。「自然界からお裾分けを頂く」点では何も変わらず、対象がムシかサカナかの違いだけなのに、かたやアウトドアの健全スポーツ、かたや変態の趣味。世間でのこの扱いの差はどういう理屈なのかまるで理解できない。
釣りにしたって、釣り糸などゴミの問題、乱獲の問題、はては本来その水域にいない種苗の放流にともなう遺伝子汚染の問題、外来魚密放流の問題など、解決せねばならない問題は山のようにある。たしなむ人口の多さを考えれば、釣りという道楽がこれまで地球の自然環境に与えてきた負荷の大きさたるや、虫採りなどの比ではないはずだ。それとも釣りはすでに産業として成立していて、経済を回すのに貢献しているからみんな叩かないのだろうか。

川釣り解禁シーズンになると、よくニュースのインタビューで「こんなに釣っちゃいましたよー」などと言って、死にかけのアユヤマメが10も20もひしめくビクの中身を嬉々として見せる、「釣りキチ三平」の魚紳さんみたいのがテレビに出てくる。食べるのが目的なら、アユヤマメなんて2,3匹も釣ったら十分だろうに。釣り番組にチャンネルを変えれば、釣りあげた半死半生の魚を何匹も防波堤に並べてご満悦の釣り師が出てくる。あれと全く同じ事を試しに蝶でやったらどうなるだろう。捕まえて殺したての蝶の入った三角紙を机に並べての、満面の笑みをテレビに流したらどうなるだろう。たとえ普通種でやったとて非難と批判の投書爆弾は免れまい。

人間、とくに日本人は魚を捕まえること、それも乱獲することに関しては病的に感覚が麻痺している。魚相手なら何やっても許されると思っている。いればいただけ全部採っていいし、いくら採ってもいなくならないように思っている。その感覚の麻痺が究極的に昨今のウナギしかりマグロしかり、魚類の商業的乱獲を是認してきたような世論にもつながっているのではないだろうか。
去年ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたニュースが出たとき、業界はこれまでの野放図な乱獲を反省するどころか、ウナギが絶滅危惧種に指定されると今後採りづらくなる、売買しにくくなるなどと反発したという話があって、唖然とした。絶滅しそうだと散々言われてるのに、今更ウナギを使って地域興ししようとする時代錯誤な自治体は雨後の竹の子状態。しかも日本のウナギだけでは足りないから、よその国のウナギまで乱獲しにいこうなどという話にまでなっている。正気の沙汰ではない。



足がちぎれた鳥とは全然関係ない話になってしまった。

ただでさえ人相の悪いウミネコが、全ての人間への恨みと怒りと憎しみを込めてこちらを睨み付けているように見えてきて、いたたまれず席を外した。
奴はこれから死ぬまで何年も片足で生きねばならない。いや、片足だけで何年も生きられまい。つらいだろう。痛かったろう。

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