633.jpgウミユスリカ一種Clunio sp.。海中に住める、数少ない昆虫の一つ。体長2mm前後。

幼虫期は海岸の潮間帯に生えた海藻の間で過ごしており、大潮の日の干潮時になると一斉に成虫が羽化する。オスは普通の羽虫だが、メスは成虫でも翅がなく、申し訳程度の短い脚が付いたウジ虫そのものの姿。メスは自力で蛹殻から脱出できず、オスに引っ張り出してもらう必要がある。比喩表現でも何でもなく、文字通りこの虫のメスは、脱がされて大人の女になる。

632.jpgこの港湾には物凄い数のウミユスリカが住むが、潮回りがよくない日だったので、フライングして羽化したオスを少し見ただけだった。大潮の日に、潮の引いた岩盤の上を白い羽虫がわんさか駆け回るさまは壮観なのだが、道行く人間どもはそんなもの誰も気に留める訳がない。

678.jpg数年前の大潮の時に見た交尾。文献では、オスは波打ち際の水面を滑走し、水底から浮いてくるメスの蛹を捕まえて脱がすと書いてある。しかしこの港湾では例外なく、オスは潮の引いた陸地を這い回り、海藻の間に隠れているメスの蛹を探り当てて中身だけを引っ張り出す。


海苔で覆われた船着き場で、岩にへばりついてユスリカを見ている背後を、多くの釣り宇宙人のつがいや親子が行き交う。
「ねーねーあのシトなにやってんの?」「見ちゃ行けません!」というお約束の文言を、本当に久しぶりに、直に耳元で聞いた。

静岡にて。

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写真がいいのかもしれませんが、凄く美しい虫ですね!
程よく光沢のある体に、曇りガラスのような翅に、透明感のあるグリーンの脚や触角と、
大人になった今だからこそまじまじと見ていたくなる美しさです。
-|2014.03.24/19:44
実物はとても小さくて目立たないですが、海藻の多い磯ならばほぼ確実にどこでも見られるので、ぜひ探してみてください。
richoo|2014.03.24/20:35

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