海に住むハエときて、数年前に別な場所で変わり種を撮影していたのを思い出した。当時使っていた低画素オモチャデジカメの、ガチャガチャな画質ではあるが、ほとんど生態写真がネット上に存在しないものなので、出しておくことは一定の意義があると思う。

674.jpg東北地方のどこかで見つけたフジツボベッコウバエ。北海道で見つかっている種類Oedoparena minorと同種であろう。北方の岩礁地帯に住むこのハエの仲間は、驚くべき事にフジツボの寄生蝿として知られている。
春先に成虫が羽化し、フジツボに産卵するらしい。孵ったウジはフジツボの中身を食い尽くし、フジツボの死殻内で一度休眠後覚醒して蛹化するようである。潮間帯のフジツボに寄生するから、満潮時には海底に水没することになるが、ハエの幼虫は特に問題にしない。

673.jpgフジツボベッコウバエは、日本でははじめ北海道から発見され、記載された(Suwa 1981)。その後日本のどこでどれだけ本種が見つかっているのかは、記録を知らないので分からない。しかし、おそらく東北北部の海岸線には、全域に広く分布しているはずだし、すでにどこかに記録はされているだろう。何せ、ハエの専門家でも何でもない奴が、戯れにぺぇっと海に行ったついでにこうして見つけられる程度のものである。産地では、馬に食わすほどの数が波打ち際の岩に群がっていた。

東北もひさかた訪れていない。いずれまたあのハエを撮り直しに行きたい。あわよくばフジツボの中の幼虫が見たい。


参考文献:
Suwa (1981)DESCRIPTION OF A NEW JAPANESE SPECIES OF OEDOPARENA, AN ASIO-AMERICAN DIPTEROUS
GENUS (DRYOMYZIDAE). Insecta matsumurana. Series entomology. New series, 22: 29-35

トラックバック

http://sangetuki.blog.fc2.com/tb.php/990-f8f90bb9

感動
フジツボに寄生するハエ。驚きました。いつも信じられないような世界を見せていただき感謝しています。今後のご活躍をお祈りします。
wagimo|2014.01.27/12:22
ありがとうございます。そう申していただけると、励みになります。
richoo|2014.01.27/18:10

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する