2756.jpgヒエツノアブラムシPseudoregma panicola。長崎にて。

2759.jpg主に秋口、林縁のチヂミザサの茎に白い粉を吹いて取りついている。夏は別の植物上で虫コブを形成するとかしないとか。ここでは少なかったが、しばしば群生し、チヂミザサを白くするので遠目にも目立つ。

2758.jpgこのアブラムシは、外敵との戦闘に特殊化した兵隊カーストを持つ。ササコナフキツノアブラムシなどに見られるものと同様、兵隊は脚がガッチリしており、頭には鋭いツノを生やす。だいたい、チヂミザサの穂の上部ほど生殖虫が多く、下ほど兵隊が多くなる傾向がある。

長野の裏山にはきわめて高密度でこれが生息しており、毎年秋にはそれなりにこの生物を観察していた。しかし、今までの所このアブラムシの兵隊が何かと戦っているところを、一度たりとも見たことがない。そもそも、このアブラムシのたかっているチヂミザサに、他の生物が乗り込んできている様を見た覚えがほとんどなく、かろうじて1回ほどヒラタアブのしょぼい奴が産卵しに来たのを確認したのみ。
ワラくずの先で兵隊をつついても、ササコナの兵隊ほど目に見えるアクションを見せない。これが本当にコロニーの防衛の役を担っているのか、もしそうならば何から守ろうとしているのか、全く不明。知りたくば、アブラムシに直接聞くしかない。

2735.jpgモチツツジカスミカメOrthotylus gotohi。京都にて。

ツツジの木の葉上にだけいる。ツツジの葉や茎は粘着物質で覆われており、大抵の軟弱な虫は不用意に降り立つと身動きとれなくなって死ぬ。そうした行き倒れの虫をこのカメムシは襲って、汁を吸い取る。
このカメムシ自体は、ツツジのトリモチに捕らわれることがない。体から特殊な油か何か出しているのかと思ったが、よく見るとこのカメムシ、脚のギリギリ先っちょしか接地していない。常につま先立ちの体勢で行動しており、極力接地面積を少なくして過ごしているのだ。
それを考えると、このトリモチ上での生活は、このカメムシにとっても多分にリスキーな生活と思われる。

2738.jpgオオトビサシガメIsyndus obscurus。岡山にて。

大形のサシガメで、秋口に急に目立つようになる。越冬場所を求めて活発に動き回るからだ。逆に秋以外にどこで過ごしているのか、俺は見たことがほぼない。

ネット上で、しばしばこれがトビを抜かして「オオサシガメ」という誤った名で掲載される。本当のオオサシガメTriatoma rubrofasciataは精霊であり、過去数十年にわたり国内で見た人間が居ない。国内にはもう存在しない可能性が高い。

2707.jpgタケツノアブラムシPseudoregma bambucicola。宮崎にて。

タケに付く。基本的にかなり稀で、日本では西南部にしかいない。ネット上の画像検索で(しばしばゴイシシジミと共に)出てくるタケツノアブラムシと称する写真は、9割方ササに付くササコナフキツノアブラムシCeratovacuna japonicaの間違い。ササコナは葉裏に付くが、タケツノはあの固いタケの幹表面に群生して付くという噂を前々から聞いていた。まさか本当にそうだとは思わなかった。

現地でさて撮影しようと思ったら、あろうことかミクロ物撮影に絶対必須のMPE65を家に忘れるという致死的ミスを犯した事に気づく。何とか出来合いの設備で撮影したが、やはりあのレンズを使わないといまいち。また撮影し直しに行く。

夏のアルバムから。
2374.jpgヤドリギについていたアブラムシ。種は知らないが、変わった雰囲気。長野にて。

※ヤドリギアブラムシTuberaphis coreanaだそうです。KUWAKIRA様、ご教示誠にありがとうございます。

たまたま寄ったある場所に、ケヤキの大木の立つ神社があり、そこにヤドリギが生えていた。大抵、大木のはるか高所にあることの多いヤドリギだが、運良くお触り可能な所にあった。
かなり樹齢を重ねた老大木だったが、見た限り洞は出来ておらず、某虫はいなそうだった。

かつて僻地在住だった頃、居住区から遠くない場所に大きなケヤキが立っており、この木の洞から毎年ある期間だけ珍虫が発生した。しかし、そこはマニアの間では超有名ポイントらしく、発生期間中は長竿を掲げたマニアが余所から多数襲来する。そして、住宅街のド真ん中だというのに、近隣住民の目もはばからず複数人バリケードを作ってその一本の木を囲んでしまう。
しかもそのマニアというのは軒並みリタイヤした初老~老年世代なため、平日だろうが何だろうがいつ行っても常にそこに陣取っている。仲間内で場所を交代して占拠し、空く瞬間が一秒もない。下手に近寄ればトラブルになるのが分かり切っているので、俺は長い在住中一度もそこの木には発生期間中近寄ることができず、結局今まで一度もその珍虫の生きた姿を見たことがない。すぐ側に住んでいたのに。