2743.jpgウンゼンホラヒメグモNesticus yaginumai

長崎に固有の地下性生物で、長崎に分布する唯一の大形ホラヒメグモ。県内のごく限られたエリアにのみ見られるが、産地の一つたる某洞窟は、内部の過剰な観光整備により生息状況が芳しくない。

長崎県レッドデータ掲載種。

2729.jpgシロオビトリノフンダマシCyrtarachne nagasakiensisの網。山口にて。

夜行性で、夜のみ網を張る。基本的に網は一般的なクモの巣のように丸い形だが、横糸の本数が恐ろしく少ない。すなわち、横糸同士の間隔が離れており、目のやたら粗い作りをしている。そのため、獲物は「網」にかかるのではなく「糸」にかかって捕らえられる。この類のクモの網には、主として蛾がかかる事が多いらしい。

かつてトリノフンダマシは、網を張らないと言われていた。深夜になってからでないと網を張らないため、造網習性が明らかになるのが遅れたという内容の話を、昔どこかで読んだと覚えている。
俺にはその話がどうにも腑に落ちない。夜行性のクモなどいくらでもいるのだから、クモを専門とするフィールドワーカーならば深夜クモを探して徘徊する者くらい古くからいたはずだ。そんなに近代になってからようやくその程度のことが判明したというのが、信じがたい。なお、上の写真が撮影されたのはせいぜい夜9時前後である。

牛若

夏のアルバムから。
2649.jpgコアシダカグモSinopoda forcipataを捕らえたオオヒメグモParasteatoda tepidariorum。静岡にて。

相手を無抵抗にした上で一方的に攻撃のみ仕掛けるという、卑怯極まる戦法に特化しているため、自分よりも遥かに巨大かつ戦闘力の高い獲物も労せずに捕らえる。

2682.jpgワスレナグモCalommata signataのオスが、メスの巣を尋ねる。福岡にて。

職場の前の道路を昼間歩いていたら、妙に脚の長いクロオオアリが歩いているのを見つけた。よく見たら、それはアリではなくワスレナグモのオスであることがわかり、すぐに捕まえた。。翌日、その近くでまた別のオスを見つけた。これは職場の周りにメスが確実にいるなと思い、ある日の夜に芝生環境を中心に目視で探索を試みた。やや時間がかかったが、案の定思った通りの環境で一個巣を見つけることが出来た。
あらかじめ、最初見つけて確保しておいたオスを放してけしかけてみると、すぐにオスはメスの巣を認識して中へと侵入を試みた。オスは小刻みに前脚を使ってメスの顔を刺激しつつ、巣の入口の内壁に張ってある糸をまくって剥がすような動きをして見せた。もっとじっくり観察したかったが、突然の大雨と尋常でない数のヤブ蚊の猛攻に耐えかねて撤収した。あの職場の蚊の数は一体何なんだ。

思いも寄らぬ身近な場所にこのクモの生息を見つけて、嬉しい気分になった反面、陰鬱な気分になった。この職場はあと2-3年後には余所に移転し、その後この用地は広域に渡って完全に埋め立てられて更地にされる。よって、せっかく見つけたこの環境省の絶滅危惧種の産地も向こう2-3年で消滅することになる。
今の内に何匹かほじくり出して、ここから一番近い田園にでも放ってやろうかとも思ったが、そういうことはしても良いのだろうか。

夏のアルバムから。
2678.jpgドウシグモAsceua japonica。屋久島にて。

この種の南西諸島での記録は比較的貴重と思われる。樹幹で日没後に見つけたが、よりによって撮影時にレンズとカメラの接触障害が発生。撮影後に標本を確保するつもりだったのに、泡を食ってうんにゃらかんにゃらやってる間に命拾いされた。